季語とは
何をしていたかと云えば、山田太一のドラマを見ていた。『今朝の秋』1987年。蓼科の山中で暮らす父親(笠智衆)は東京の息子(杉浦直樹)が余命3ヶ月と知り病院へ駆けつけるが二十数年年前に男と逃げ出した妻(杉村春子)と鉢合わせる。やりきれない思いをどうすることもできずにぶつかりあう二人。父と息子は病院を抜け出し蓼科の家で最期の時を静かに迎えようとする。そこへ母や離婚間近だった妻と娘も集まり、短く切ない家族の時間に酔いしれる。深町幸男演出の冷静な目線と台詞のうつくしさに人間の哀しさとわずかな希望が込められてた。今朝の秋は季語で立秋の朝の意味。「はりぬきの猫もしる也今朝の秋 芭蕉」