雑木林とは


今からじゃ遅すぎるけど。身体は大事にしよう。とにかく無茶ばかりしてきた。もうそんな力もない。90歳の建築家と87歳の造園家夫婦の自給自足に近い生活を追ったドキュメンタリー『人生フルーツ』2016年で語られる「むかし、ある建築家が言いました。家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」という言葉。夢物語のようだけれど、それは心の持ち方ひとつなのだと思う。このふたりのように「こつこつ、ゆっくり、時をためて」生きていくのはむずかしい。わたしたちは身体に鞭打って働くしかないのだから。ただ、先立った夫の「ぼくたちは二人で一人前だなぁ」という言葉が真実で、長年連れ添うということはそういうことなんだと納得させられた。