若夫婦とは
夕べの小望月は可憐にみえた。今日が十五夜だった。薄い靄のかかった満月はやはり堂々としたものだ。隣りには木星が当たり前のように並ぶ。ちょっとしたプレゼントを探してこの街で唯一のデパートをうろうろした。滅多に足を踏み入れないので、ちんぷんかんぷん。そして、決まってキモいカップルに遭遇する。エスカレーターでわたしの前にいた男が2階に降りた途端、背後からすすっと男にくっついた女。袖を掴みたい代わりに頭を男の背中に接近させて付いていく。男はその存在を完璧に無視してカゴを持っている。献立を決めるのも作るのも男。後片付けは女。会話もなくテレビの前に並んで座り、うっとりと男の肩に甘える女。まるでホラー映画。