逃避行とは
強風に飛ばされそうな朝。7時半に家を出る。高速バスで正午過ぎには静岡の施設に到着。母の昼食時を狙って部屋を物色。汚れたズボンなどを二度洗いして乾燥機に、その間に掃除。床に並べられた写真の数々、カビの生えた林檎、大量の駄菓子…隣りの部屋の風鈴がけたたましくて精神的に追い詰められる。カレンダーの30日に丸印をつけて「なぎさ」と書いてあるが、その人はもうまるきり記憶を失ってしまった。やれることだけやって実家に向かう途中で寄り道。常連客とも顔馴染みになった酒屋でビールとマグロぶつ、瀧なんとかというひやおろしが絶妙で三杯。浮き上がるような黒い富士山。へろへろで実家へ、隣りの奥さんに挨拶、みかんとキーウィをもらう。こたつも出せず毛布に包まって撃沈。