配色とは


なぜこの帽子に惹かれたか、やっと気づく。それはぶどうねずみ色で、ぼたもちの漉し餡の色で、おばあちゃんの洗い晒した前掛けの色だ。仕事に専念した連休さいごの日、家中くまなく雑巾掛けをして風を通し、夏服を出してあれこれ組み合わせしてみる。白地に水色の木綿ワンピースは子供用を手直した。やさしくて大胆な着物柄が涼しげだ。白い紗のカーディガンと薄紫に花柄のスパッツ、白い靴下には象牙色のサンダル、ぶどうねずみの帽子とお揃いの絹のスカーフで五月の衣裳は完成。これで川沿いを歩きたい。陽射しもゆるんだ午后四時、あちらこちらで雄猫が喧嘩している恋の季節。鬱蒼としたけやき並木を抜けて待ち合わせの大繁盛店。蕗の煮物がおいしい。がんばって作るか。