自由とは
歩けなくなったらおしまいだ。不自由な身体にいらつきながら腕を大きく振って歩く。掌をぎゅうっと握ったり、指を精一杯伸ばしたりしているうちに血の巡りがよくなってくるのを感じる。ちょっとした買物をするのにも神経を集中させないと危険。歯ブラシ買う際に財布を落としたり、子どもみたいな失敗をする。昔よく行っていた店の前を通りかかったら「都合により六時頃から」と貼り紙。近くの古着屋でボトルグリーンのセーター400円を買って戻るとまだ灯りがついていないので酒屋の角打ちでビール飲んでいたら顔見知りがやってきた。赤ワインと日本酒をごちそうになって店へ移動するが顔ぶれの悪さに逃げ出した。もう行く事もないだろう。