霜降とは


一晩中1時間おきに窓を見た。明け方がいちばんさみしい。思い出したくない夢の中で格闘していると、コンコンと頭をつつかれて「来たよ」とささやく声がした。嵐の海から生還する。ペロリと舌を出したミミコの顔はやっぱり憎たらしい。何事もなかったかのように朝ごはんを食べ、毛づくろいをして狩りに出かけて行った。どっと疲れがでる。音もなく小雨が降ったり止んだり、吐く息が白くなりそうだ。本格的に衣更えをしなくちゃいけないのだけれど、なかなか火がつかない。ミミコは夕方4時にケロッと戻ってきて夕ごはん。帰巣本能はあるらしい。こちらも準備して満月を見る特等席のある店に行く。黒い雲の合間に丸い月が昇り、少し浮かれる。