孤高とは


あいつ、雨の中来た。正午前、気配を感じて窓からそっと覗くと風呂場のドアの前に置いてあるカリカリを食べ切ったところ。目が合うと室外機の上で待っている。お腹がへこんでいた。そして躊躇しながら二つの皿を交互に食べて足りない顔。黒くて長い尻尾をおしとやかにくるりと巻いていた。いよいよチュールの出番。誘いには乗らない、手を出すと怖がる。仕方ない。皿に移してやる。それでも足りずにカリカリお代わり。しばらく毛づくろいして雨の中へ消えた。濡れるのは嫌に決まってる。たくましいな。あいつが姿を見せてから今日で二ヶ月。慣れるにはまだ時間がかかる。冷たい雨続きの空が恨めしい。もう少しだけ、あと少しだけ太陽がんばって。