犠牲とは


10年ひと昔とはよく云ったもんだ。自分ばかりが歳を取っている気になっていたけれど、そんな訳はない。『完全なるチェックメイト』2015年を見た。原題の『Pawn Sacrifice』は犠牲の駒という意味。米ソ冷戦時代、実在した天才チェスプレイヤー役トビー・マクワイアの繊細な演技、当時40歳というのが信じられない。極度の被害妄想に取り憑かれ病んでいく精神を奮い立たせながら世界の頂点に立つ主人公の台詞がすごい。「全ては理論と記憶なんだ。たくさん選択肢があるように思えるけど正しい手はいつも一つしかない」いやはや真理であるな。脆くこわれやすい青年の透きとおるブルーの瞳が痛々しい。夜は久しぶりに友だちと近所の店。北海道の秋刀魚の刺身が新鮮。