休養とは


土産を買う余裕がまったくなかった。テキパキと無駄なく行動する彼女に遅れまいとよろよろ付いていくだけで精一杯、足元がおぼつかなくてホテルの階段でずっこける始末。やれやれ、今朝は全身がまったく機能しない。とりあえず巨大白菜を物置に運び、後の事は考えないことにする。売店で買った小冊子「太宰治が表した山梨」をパラパラとめくって現実逃避。山梨で執筆した小説や書簡の一部をなつかしく読む。人情は荒っぽく日差しの強い甲府をハイカラで文化のしみとおった街と愛した太宰の言葉は素朴にきれいだ。