花見とは
桜が咲いた。19日に買ってきた東海桜、下の細い枝を切って卓袱台の上に飾っていた。米粒ほどの蕾を毎日眺めていたら、しずしずと花弁を開きはじめ、今朝ようやく花開く。インドネシア土産の青花猪口にパセリと一緒に挿した桜は花弁の縁をぽぅっと赤らめ、黒いテーブルの上で羞じらいを秘めたように俯いている。これっぽちの花に心を揺り動かされるとは予想もしなかった。遠い昔、深い山奥で満開の桃畑に迷い込んだ時の衝撃が忘れられず桃の花がいちばん好きだったけれど、まさか桜に涙しそうになるとは。意固地なまでにケチなので許せない贅沢は自動販売機でお茶やコーヒーを買うこと。けれど今、部屋に桜が咲いている。優雅だな。