秋桜とは
あたしは用心深い女。まだちいさい頃、うかつにもにんげんに捕まって気を失ったの。目が醒めたら左耳が桜の花びらみたいになってた。金魚に聞いたら地域猫の証しだって。子どもを産めない体になったからこうして無事に生きていられるの、ボランティアさんの好意をありがたく思わなくちゃだめよミミコって云われても、やっぱりにんげんは信用できない。二度とあんな目に遭わないためにあやしいにんげんは警戒するの。金魚はうすら笑いしてた。テリーヌのごはんごちそうさま!なんて云うあたしじゃない。あんたの話し相手になってやってるんだから当たり前。あの女、今夜は白い菊みたいな花をぶら下げて帰ってきたの。ゆらゆらさわさわする花よ。