空き家とは


ようやく隣家に明かりがついた。ひと月以上は経つだろうか。高齢の母親と五十代?の息子さんが住んでいたのが、急に二人ともいなくなってしまった。これまで母親が大抵朝の四時に起きていた。我が家の居間兼台所の窓が煌々と明るくなりテレビが大音量で聞こえてくる。耳が遠いのだろう。窓にはカーテンをして決して開けないようにしていた。ある日、明かりが消え、ポストに郵便が溜まるようになり、二週間前から回覧板がぶら下がったまま。生協の宅配が来てないから準備はしてのことだろう。夕方ようやく明かりがつく。テレビの音が小さいから息子さん一人のようだ。不幸は考えたくない。何はともあれ両隣りが空き家でなくなってよかった。