家族とは
やはり微弱な風邪の症状が出はじめた。目醒めた瞬間にのどが焼けたように痛む。おとなしく撮り溜めた山田太一脚本のドラマ『ありふれた奇跡』2009年を見続けた。駅のホームから飛び込みそうになった男を偶然助けた二人の男女が生きる希望を見いだしていく物語。脚本の巧さはやはりピカイチで、どこか他人行儀な台詞がしみじみ響いてくる。互いの家族がそれぞれ抱えている秘密と孤独、けれど寄り添い合わずにはいられない。風間杜夫と岸田一徳が女装するのはもう反則技だ。生きる事に不器用な主人公を演じた加瀬亮がよかった。女性監督作品などでどこかつかみどころのない雰囲気を漂わせていたけれど、このドラマでは情けなさが強さに変換していく過程をため息や眼差しで丁寧にみせてくれた。11話を一気に味わう。