火事とは


不穏な空気は感じなかった。夜、いつもの店にいたらけたたましいサイレンの音。次から次にパトカーや消防車が集まってくる。Tさんがやってきて、すぐ近くで火事だとのこと。常連のEさんが発見して通報したと云う。家から100mほどの距離だ。帰る途中の道には10数台の消防車が並んでいた。火の手は見えなかったけど、怖いな。職質されないように息を詰めて歩いた。いつもの店に来るのはご近所さんばかりだから、道ですれ違うことも多い。ほとんど誰かに見られている。昔はこの感覚が嫌いだったけど、今はなんとなく安心で、声をかけてもらえるのがうれしい。家に着いてからも胸騒ぎがして眠れなかった。小さな集落の出来事。