神前式とは


雨上がりの朝。こたつ布団を干して掃除機をかけ、家の中の埃を取っ払う。間違いなく花粉にやられているが、まだ認めたくない。風邪の咳と痰も長引いている。頭を水に突っ込んできれいさっばり洗い流したい。夕方、街に出る途中に神社の境内を通ると白無垢を着た花嫁と袴姿の花婿が枝垂れ桜を背景に写真を撮っていた。夢のような気分なのかしら、いやそれどころじゃないだろう。結婚式なんて浮かれているのは他人ばかり。当人たちは暑いとか寒いとかお腹が空いたとか衣裳が重いとか、きびしい現実と戦っているのだ。胡瓜と新玉ねぎを買って焼き鳥屋さん。花見のお礼を云うには日が経ちすぎてしまった。帰るとミミコが来ていた。