アイロニーとは
ちょっとひとやすみ。なんにも手につきません。外出は年賀状の返事を書いて郵便局のポストに持って行っただけ。アッパス・キアロスタミ監督『友だちのうちはどこ?』1987年はイランの小さな町が舞台で、ノートを返すために友だちの家を探し回る少年のお話。途中で出会った玄関扉を作る老人は、ほとんどの家が鉄製のドアに変えてしまうので嘆く「一生持つと云うけれど、そんなに長く生きるもんかね」老人の作るドアは木製で伝統的な模様があしらわれていて、家の中からこぼれる光が神秘的な輝きを放つ一方、壊れやすい。人々は口々に云う。頑丈な鉄製にすれば一生物だと。道にこぼれる光はなくなり、家は遮断されてしまう。運命は皮肉だ。