伝説の女優とは
午前0時を回った頃、向かいの家の窓に赤い月が映っていた。玄関から通りに出て見上げると南の空に十三夜の朧月。いつもよりひとまわり大きな月をしばらく眺めていたかったけれど、酔った女の声にビクッとして逃げ戻る。朝までジョン・フォード監督『我が谷は緑なりき』1941年、エルンスト・ルビッチ監督『ニノチカ』1939年を見る。前作のヒロイン、モーリン・オハラと同じ1920年生まれは原節子。そして2015年、二人とも95歳で亡くなった。二作目のヒロイン、グレタ・ガルボとは幼い頃に家庭が貧しかったことや、若くしての引退(ガルボ36歳、原42歳)、生涯独身を貫いたことなど共通項が多い。確かにスクリーンの女神たちは存在した。