悪意とは
久しぶりに銭湯へ行った。脱衣所は常連のオバさんたちが井戸端会議の最中。よそ者を訝しむようにジロジロ見られたので知らんぷりして素通りし離れたロッカーを開けた。洗い場には先客が三人、みな知り合いで時折話し込んだりしている。湯船に入ると、やはりジロリと一瞥された。まるで自分の家に入り込んだ不審者を見るように、そして何か無礼でも働こうものならチクリと警告してやるという意思すら滲ませる。あきめくらに近いわたしの視力でも感じるのだから相当な悪意があるのだろう。触らぬ神に祟りなし。至って平然と視線を合わさぬよう細心の注意を払う。こちらこそ話しかけるなオーラを全身から漂わせる。ああ、さっぱりした。