シネマの夜とは
ふしぎな夜だった。まるで1.3倍速で映画を見ているよう。いかにも滑稽で一人一人の心が透けてくる。ひたすら幼児の男たち、狡猾な女たち。焼き鳥屋さんの忘年会は、10人も入ればいい感じな店内に20人以上がひしめき合い、シチューの洗礼に始まって揚げ物のオンパレード。口にできたのはトマト2切れ、ガリ2切れ。テーブルもなく椅子に半ケツで止り木状態。阿呆らしくなって気取ったラベルの一升瓶を半分のんだ。半袖でも汗ばむくらいの暖房から逃れて外で立ち飲み。たばこを吸う大人たちの吹き溜まりはここちよく、ガラス戸の向こう側が別世界に思えた。そういうのを邪魔するおバカさんがやっぱりいる。義理は果たした。これでさよなら。