哲学とは
力を抜くと気を失う。こんな状態でよくここまできた。この夏のことを想い出す時が来るだろうか。8月28日に街の小さな映画館が休館する。最後の上映に選んだのは60年代の女神アンナ・カリーナの人生を描いた作品。ここの特色をよく表している。ゴダールの『男と女のいる舗道」で娼婦役の彼女がつぶやく。「どんなことをやっても私の責任。だから自由なの。不幸になるのも私の責任。右を向くのも、目を瞑るのも、煙草を吸うのも、私の責任を忘れるのも私の責任なんだわ…」たしかそんな台詞。この世界に永遠なんて存在しない。あるのは心に焼き付けられた一場面だけだ。午前5時、富士山のライブカメラを見て、朝が来たことを噛みしめる。