どこにもない場所とは


地図の中で小さな旅をする。時刻表も然り、一日中眺めていても飽きない。ところが、よく知っているはずの町内で道に迷う。来年のスケジュール帖を買うつもりだった。気儘にのんびり遠回りを楽しんでいたが、行けども行けども見慣れぬ風景に戸惑う。電柱の表示板を見ても曇りのせいか方角がわからない。気づけば隣町の地下鉄駅。どこへ向かって良いのか途方に暮れる。諦めてJR駅まで続く商店街を延々と進みダイ○ー発見。ガード下を歩いてようやく我に返る。二時間かけて手にした猫のスケジュール帖は貴重だ。家に着いて地図を開いたが歩いた道が判然としない。七つ森という喫茶店だけが手掛かりだった。わたしは30年前の街を探していた。