前進とは
朝は予告もしないでやってくる。午前6時、カーテン越しの朝陽が憎らしい。一睡もできなかった。般若心経を唱えて風呂に浸かる。チェックアウトしてお土産を物色しアイスコーヒーを飲む。実家へ向かい、まず隣りの奥さんに挨拶。それから真っ暗な家の雨戸を開けて放心する。できる限りのことをして、四時間後には高速バスに乗っていた。朦朧とした富士山に別れを告げ、大渋滞の末に高層ビル群の灯りが見えた時、ガクリと力尽きる。駅に着き、焼き鳥屋さんに向かう。誕生パーティーで盛り上がる店内。お土産を配って任務完了。這う這うの体で家に帰ったのは夜10時半。頭はすっからかん。つんのめって転んだことが遠い記憶のよう。