敬老とは
初めて寒いと思った。昼間はペラペラ薄着でも汗ばむくらいなのに、夜中に起きたらゾクゾクするほどからだが冷え切っていた。たまらず股引と麻のズボンなど手当たり次第に身につけたが足りずにフリースの猫頭巾を被る。寒暖差には気をつけよう。布団もないから相変わらずの転寝、絹の毛布だけでは些か心配になる。冬になる前に考えなくては。たばこを仕入れに三軒回る。どこも品切れ。なんとか3カートン買う。どっちにしろ消耗品。いっぱい買えば何千円も節約できる。あと3カートンは欲しい。卑しい根性むきだし。切ない。街にはケーキの包みを下げた家族連れや、腕を組む若い男女が束の間の幸福に酔っている姿が目立つ。どうでもいいや。