半死とは
25年前、マティと出会った日。この日を思うと心が空っぽになる。白濁した右目でガァガァと鳴きながらよろけて道路を渡ろうとしていた三重苦の子猫は煮干しとミルクでめきめきと成長し、二ヶ月後に三匹の子を半日がかりで産む。全部逆子でわたしが引っ張りだした。それから16年後に息子が先立ち、20年後に大往生を遂げる。腕の中で彼女の息が止まった瞬間、わたしの心も止まる。痛みを押し殺し、感情を封印した時から心が壊れてしまった。涙も出なくなった。喜びも悲しみもない。一人で我慢する癖がここまで精神を蝕んでしまうとは。今のわたしは半分死んでいる。だが、今は死にたくないのが唯一の願いであり、たった一つの希望と云えなくもない。