筆圧とは
万年筆のインクが切れる直前が好き。文字がちょいっと掠れだしたら夢中で切れ切れの線を書いて、ふぃっと真っ白になる瞬間におとずれる達成感とわずかな悲哀のようなものがボールペンとは違う。空のインクを新しくしてペン先を振り、試し書きをする時の緊張した面持ち。加減を調節しながらブルーの線を何本も引く。かならず指先が軽く滲んでしまうのも嫌いじゃない。太字のパイロットと細字のセーラーを使い分けているけれど、実はいちばん手に馴染んでいるのは30年以上前に買ったスポイト式の万年筆。おそらく中国製で当時何百円。机の上にインク瓶があるのがうれしくて相当に使い込んだのにキリッとした書き味は落ちなかった。高級品よりもずっと相性がいいところも気にいっている。久しぶりにインクを入れてみようかな。