縄張りとは
あいつはお人好しなのか。先日は「顔でか」につけ回され、今度は薄汚れてインドのお茶チャイみたいな色のデブ猫がミミコのごはんを横取りしている。チャイはなにしろ大きいので、来るとすぐ分かる。窓を開けると飛んで逃げていく。ミミコはもう半年もここで暮らしているのだ。慣れてくれないのが玉に瑕ではあるけれど。雪が降るまでの猶予はあと少し。せめてひもじい思いだけはさせたくない。夕方、駅まで出て焼き鳥屋さん。熱燗いくら飲んでも温まらず難儀する。友人から遅ればせながら誕生日プレゼントの日本酒と米をもらった。なんだか配給みたいで素直に喜べない。二人で重たい荷物を背負ってバスに乗る。