流浪とは


スリッパを洗濯しました。去年の八月に静岡から帰ってきて朦朧とする頭で駅ビルを潜り抜けようとした時、目に飛び込んできた真っ白なバブーシュ。模造品の安物だけれど清潔な色と形によろよろと惹かれ衝動買いした物です。二日間の疲れを忘れるくらい心が弾みました。どんなにささやかだろうがホッと力が抜けるのがよいみたい。今日は胡瓜のサンドイッチを作って公園の東屋で昼ごはんです。書斎気分で幸田文のしなやかで闊達とした文章にほれぼれしていると、いつの間にか隣りに70代の男性が座っています。分厚い外国のファッション誌を広げているのがうす気味悪く、移動しようと思ったけれどベンチは花見客でいっぱい。冷や汗かいた30分でした。