三回忌とは
今日はどうしてもやることがある。マティがいなくなって二年目の日、彼女の大好きだったマグロを食べなくちゃ。うっかり返しそびれていた図書館のCDを返却し、傾いた日差しの中を歩いていて思いついた。いつもの店は中とろだし、海鮮串煮込み屋は店員に気を遣うからしんどい。駅まで行く途中に古参の焼鳥屋があった。いつも混んでいて、説教じみた貼り紙の多さに足は遠のいていたが、実は格安の刺身がある。開店間際に思い切って飛び込む。黒板にはまぐろ漬324円、決まり。若芽と卵焼きが添えられたそれはまさに好みの味、ワサビがないのがご愛嬌。泣きたくてたまらないのに涙が出ない。目薬をさして鼻をかんでゆっくり味わう。マティ、元気ですか。