手入れとは
日々の細々した綻びをあれこれ直す。ゴミ集積所のボックスに金網を括り付け、い草カーペットの縁のほつれを紺布で包み、明日の焼鳥屋さん9周年パーティー用に20年前のワンピースのボタンを付け替え、ついでに端切れやボタンやミシン糸の整理。あからさまな太陽の光を遮断した部屋はひんやりしている。古参のやきとり屋に二度と行かないと決めたのは店のルールが書かれた貼り紙にうんざりしたから。「一度しかない人生だもの 落ち込んでたら もったいないよ」吐き気がした。大きなお世話だよ。どん底まで落ち込んで何が悪い。人生を軽々しく語るな。ふぅ、さっぱりした。久しぶりに料理らしきもの。塩とだしの素と酢をもみ込んだ蕪の浅漬けとがんもどきの煮物。