上野とは
行けないだろうけど行きたい。国立科学博物館の「南方熊楠生誕150周年記念企画展 100年早かった智の人」何年か前までは母が東京都美術館で開催する美術展に出品していたので、年に少なくとも2回は上野を訪れた。二階のレストラン精養軒で食べたデミグラスソースのかかったポークカツの味は忘れられない。その後、アメ横の乾物屋でちりめんじゃこや昆布などを買って東京駅まで母を送って帰った。あの頃はまだ二人とも食べる事に貪欲だった。四年前、東京駅での待ち合わせ時間に着かない母を都美術館で待ち、途方にくれた頃、現れた母の顔は蒼白だった。それからブリジストン美術館までタクシーを使いウィレム・デ・クーニング展を見て別れたのが最後。もう東京に来る事はない。