夜を知らないとは


昼すぎから猛烈な北風が吹き荒れている。濡れたビニール傘を玄関に掛けていたら飛ばされてしまった。迷惑顔でにらまれ植え込みで無惨な姿になっているのだろうか。辺りはもう真っ暗だし、外に出るのは危険すぎる。テニスやらサッカーやら相撲やら、スポーツ観戦で一日が過ぎる。16日目の不知夜月はつまらない顔で昇ってきた。軌道を追いかけてみても星の瞬きに引けを取っている。午前四時半、西の空に傾いてきた頃、ようやっと誇らし気な輝きを放っていた。