思い出とは


ノンフィクションライターの衿野未矢さんの訃報を知る。女子高の文芸部の一年後輩だった。頭脳明晰で一風変わった女の子は大きな瞳で悪戯に笑い、頼もしいほどしっかりしていた。たった一年の付き合いだったが、彼女のかっこよさが羨ましかった。30年ほど前にゴールデン街の店で留守番を頼まれていた際、いきなり入ってきた彼女と目が合った。瞬時に互いの名前が口から飛び出して大笑いした。華やかでブランド物の服がよく似合っていた。その以来会うこともなかったが、やはりショックは大きい。若すぎる。彼女が死を覚悟してからの闘病メモを読みながら四年前に結婚されたご主人の深い哀しみを思うと苦しい。