夏の気配とは


予告通り朝9時にラジオをつける。ラヴェルのピアノ曲特集を約二時間。じっと聴き入っていたわけではなく、洗濯と雑巾掛け、カーテンの漂白、庭いじりなどバタバタしながらだけれども、クラシックは思考の邪魔をしないのが良い。ひたすらその揺らぎの中を泳いでいる感覚。ジャズはずんずん心の奥底まで侵入してくるからガクリと疲れ切ってしまう。二十歳の頃、渋谷の名曲喫茶ライオンによく行き、暗闇の中で息を詰めノートに綴り書きをした。下北沢のジャズ喫茶マサコでは、ただ放心してテーブルの上の花を眺めていた。今日から大相撲夏場所。暦の上では夏が始まっている。休場明けの横綱照ノ富士は初日黒星。もう痛々しくて見ていられない。