アカルサとは


アキ・カウリスマキ敗者三部作。1990年代、絶望的な経済不況のフィンランドでどん底から這い上がろうとする庶民の姿を描いた「浮き雲(1996年)」「過去のない男(2002年)」「街のあかり(2006年)」どれも救いのない物語だが最後に微かな希望がみえる。3作品ともに犬の使い方がうまい。「過去のない男」にはつぶらな瞳のおっとりした白い犬が出てくる。名前がなんとハンニバル(人喰い犬)。笑える。「街のあかり」の白い犬はハンニバルの子どもだそう。そういや似てたな。常に無表情の主人公と、とことん貧しくても明るい人たちとの対比の妙。「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ」太宰の小説『右大臣実朝』の言葉を思い出す。