微笑みとは


塔本シスコは53歳から毎日絵を描き、毎日日記を書いた。初めはありふれた幸福な家族の風景を素直に綴っている。そしてシスコ85歳、旺盛な創作意欲、迷ったり困ったりドキドキしたり、日々喜びに溢れている。86歳、物忘れが多くなる。88歳、書いてあることは朝めし、昼めし、夕めしを誰と何人で食べたかに尽きる。その後認知症を発症するが制作は続けた。具象画なのにシスコの目を通した絵は抽象画のように自由奔放だ。貝殻、ガラス瓶、しゃもじなどに極彩色で描かれた顔、花、鳥、猫。サインに年齢を描くのは命の叫びだろうか。いしいしんじ氏の「シスコの絵は光の窓だ」という言葉がすべてを表してる。2005年逝去。享年92歳。