火まつりとは
この歳でわかること。慣習に伝わる人々が生きていくための知恵やたくましさ。松の内に忙しく働いた主婦をねぎらうため地方によっては女正月とも云うらしい。幼い記憶のどんど焼きは、集落で男たちが優劣を競い合う祭典だった。わたしの地方ではどんどん焼きと云い、河原でしめ縄などの正月飾りが轟々と焚かれ、その炎は大人の背丈の二倍もあり、飛び散る火花さえ子どもには怖ろしすぎた。そしてそこに女たちの姿はなく、黒焦げの橙や餅花をもらって帰るのが誇らしかった。考えうるに夫婦などというものは所詮他人なのだから、互いに息抜きが必要だということか。現在で云えばデイサービスなんてのがこれに近いかもしれない。皮肉なものだ。