東奔西走とは


長い長い夜が明ける。兄の友人が車で朝8時48分に迎えにきてくれた。予想以上に小さな車に息をのんだ。用意していた荷物をぎゅうぎゅうに押し込んで病院に向かう。母を着替えさせるのに手間取ったが無事に退院。見慣れた海沿いのバイパスの風景から一変して山あいの川縁に到着。11時半、母を食堂に連れて行ってもらっている間に兄と荷物を部屋へ運び込みセッティング。衣類その他に名前を書くのを忘れるという初歩的なミスに加えて足りない物がいくつか出てくる。しかし富士山が見える四階の部屋は静かで清潔で、母は小さなテーブルに並んだ家族の写真をいたく気に入ってくれた。15時半すぎ、兄と玄関を出ると母がベランダからいつまでも手を振っていた。