気品とは


久しぶりに例の発作に見舞われる。久しぶりに例の発作に見舞われる。眼の奥をぎゅうと掴まれたような感覚、軽いめまい、気持ちの置き場所がなくてひどく焦りうろうろするばかり、何をしても落ちつかない。いちばんしたいのは横になって眠ることなのだけれど夕方約束があるからそうもいかず家の中をあれこれ点検して回り、友人へのプレゼントを入れる紙袋を選んだりしている間に時間は経っていく。お茶はワインの入っていた袋、レースの花模様入りトイレットペーパーは和光の幅広の袋に入れた。少し早いが家の近所のコンビニの喫煙所に置かれたベンチで煙草を吸いながら迎えの車を待った。30分後には水色の軽に乗せられて私鉄沿線の駅前の居酒屋にいた。初めての店の客たちはみな人生を楽しんでいるように見えた。