はじまりの日とは


二十年前にマティと出会った日。そう書いただけでもうだめだ。何事も不器用で鈍感で気の強さだけが一人前のお嬢さん。彼女の不在を未だに受け止めきれないでいる。もうどこにもいないのに常にその視線を探してしまう。いたたまれなくて外に出た。居心地のいい場所なんてあるはずもないのに。ふらふら酩酊して帰宅。目が醒めるとまっ暗、まだ深夜だ。拍子抜けして飲み直し。独り言はこういう時のためにとってある。