小さな桜とは


家に桜がやってきた。いつものように夜の7時前に寝て、夜中に起きてきたらわたしのお雛さまの隣りにある母の焼いた猫の絵が描かれた花瓶に大きな桜の枝が挿してあった。家人がどこかで買ってきたようだ。彼が初めてくれた誕生日プレゼントが薔薇の花束だったが、大層恥ずかしかったらしい。それ以来だから30年近い年月が経つ。コロナ禍の三年で暇つぶしに家庭菜園など始め、最初はこちらが戸惑ったけれど、人は変われば変わるものだ。もう羞じらうこともないだろう。ちらほらと咲いた花はとても小さい。豆桜(別名富士桜)の一種だろう。なんだかお雛さまの顔がことさらほころびて見える。もう少し咲いたら毎日がお花見気分かな。