風物とは


コロコロとひかえめでかあいらしい音が聞こえて立ち止まる。近所に新しく開店したラーメン屋さんの前だ。カウンターで体格のいい若者三人がとっておきの笑顔で食事を待っていた。あどけなさの残る顔つきをした店主のつくるラーメンはやさしい味でおいしいと評判らしい。店内のどこかにガラスの風鈴が下げられているんだな。入ってみたいけど一杯を食べられるとは到底思えない。家に帰って南部鉄の風鈴を箱庭に釣る下げた。リーンリンリンと高く澄んだ音がさみしさを運んでくる。一度読んだのに借りて来てしまったアメリー・ノトン『幽閉』を読む。