黒い声とは


癇にさわる声ってある。質の悪いガラス風鈴のコロコロが間断なく続くような甘ったれた女の声。そういうのに限って息継ぎもなく喋り続ける。ストレス解消だから他の誰にも話す猶予を与えない。義母(たぶん)が一瞬の隙に言葉を挟む。しかし自宅の肉じゃがは高い牛肉を使っていて如何においしいか、おわり。無意味で退屈な会話にパパは相槌を打つのみ。2歳児は奇声を発して自己主張。義父が焼きそばを食べさせる。「ファ」の音階はオクターブ上がっている。トイレに行く際にベビーカーを蹴っ飛ばしてやろうかと本気で思った。小さな居酒屋でささやかに飲んでいる人々の気持ちなど分かるはずもない。なんたって家族自慢に来ている。お粗末な会計で宴会気分。