仕合わせとは
明治について考えていた。昨日の日記で女の夫は明治32年月給10円の小間使いだった。明治と今では比べる物によって価値が随分違うのだが、当時木村屋のあんぱんが1銭、現在200円。とすると1円が2万円、10円が20万円(手取りは17万程度か)となる。夫婦二人、大久保で粗末な長屋暮らしにしても家計は厳しく赤ん坊を医者にも見せられずに死なせてしまう。ほとんど仮名で書かれた「むかしばなし」は針箱に忍ばせてあった。産まれてくる子どものために書き残したと思うと切ない。それから彼らはよく芝居を観に上野や浅草を訪れ、往復5里の距離を歩いた。ぬかるんだ道ならば6、7時間かかる。女の仕合わせとは何ぞや。明治と令和の違いとは?