新手の商売とは


夜歩きグセが災いした。陽が落ちてまだ目が暗さに慣れていない頃、ぶらりぶらりと歩いていたら、ある店の灯りに吸い寄せられてドアを開けた。するすると中に入りカウンターに座ると五人掛けのテーブル席を勧められ素直に従った。一番奥の椅子に茶トラ猫が寝ている。起こさないよう斜隣りに腰掛けると女将がもう一匹の猫を連れてきて接待しろと催促を始めた。「○太郎、お仕事しなさい」あれか?猫カフェの居酒屋版か?とにかくビールを飲み、海苔を猫に食べさせ(強要されて)彼らの写真が載った雑誌を見せられ、日本酒を頼んだら在庫がないと云う。合点がいかないが焼酎ロックと冷や奴を注文し、女将の自慢話を適当に聞き流し、早々に会計を頼んだら1,400円のはずが2,050円。考えてみた。エイヒレのかけらが100円、海苔代50円、猫接待費が500円か。