酒の値段とは


夕べの大失態にはつづきがある。あまりに理不尽な扱いをされ、からだがぶるぶる震えて声も出ない。帰り道、交差点で風に吹かれながら黄色い看板に心がゆらいだ。何も考えずに引き戸を開ける。カウンターの隅に座っていつもの冷や酒。黒板のツブ貝が終わってしまってあら煮に変更。にぎやかすぎない笑い声を聴きながらやわらいでいく。くいっと二杯のんで明朗会計。まじめな商売とはこうでなくちゃ。家から3分の所にこれほど良心的な店があるのに、なぜかたまに冒険してしまう。