気っ風とは


思いがけない偶然に息が止まった。図書館で幸田文全集第14巻をぱらりと捲ると見開きの写真の幸田文が抱いている猫がグイドそっくりだった。昭和38年11月 最後の飼い猫「阪急」と…とある。しばらく放心してそのでっぷりした甘ちゃんの茶トラ猫を眺めていた。この人のカラリと素直な文章に向かい合うと、うふふと笑いたくなる。彼女の心が動く瞬間に生きている証拠を見いだすことができる。