ひらひらするとは


天気予報ではぽかぽか陽気になるでしょうなんて云ってたけれど、太陽はぼんやり薄い雲に隠れてみえません。白い木綿のワンピースの上に厚手のトレーナーを羽織り、あてもなくとぼとぼ散歩に出ます。どこかのお宅の前のホトトギスに足を止めました。人目につかない場所で、もちろん日陰にひっそり咲くのじゃなかったかしら。上品な鉢に植えられ高慢ちきな顔をした花はなるほど作り物のように汚れていないのでした。鳥は「不如帰」と書き、花は「杜鵑(草)」と書くようです。細い路に入るとしずかでお線香や温かいスウプの匂いがして、そうして白や黄色の蝶が舞っています。