文通とは


思いがけない贈り物が届く。実家の隣りの奥さんが老人会の景品だと商品券を送ってくれた。小さな町でしか使えないが向こうに行った時に酒とビールが買える。お礼の手紙を書き、名古屋土産のチョコレートと小松菜の種を封筒に入れて郵便局へ走った。205円の料金に色とりどりの切手を貼って出す。種は有効期限が切れていた。あたまの中で猛烈に何かが崩れかけている。米を炊いて洗濯物を干している時にぶつぶつ独り言を云いはじめた。胸に溜まった毒々しいものが止めどなくあふれてくる。もうだめかと一瞬正気に戻ったけれど、やることはまだ山ほどある。いっそ気を失ってしまえばどんなにラクかと台所の床にへたり込んで沈黙する。