夜のパリとは
1930年代のパリといえばブラッサイ。20代の頃、渋谷の古本屋で写真雑誌を探し回った。パリの夜、街角に立つ娼婦、ダンスホールの踊り子、数々の宝石を身に纏う老婆の写真の冷ややかな体温と挑発的な瞳に圧倒された。今日見た映画は「パリの屋根の下」1930年/監督ルネ・クレール。1人の女に振り回される三人の男の物語。サイレントとトーキーが混ざり合い、下町の喧噪と静けさがコミカルでたのしい。アルベールは街角に人々を集めて歌いながら1フランの譜面を売って暮らしている。120円くらい?と思って調べたら当時1フランは200円。親友としこたま酒を飲んで会計が22フラン4,400円。古き良き時代の小粋でほろ苦いお話。